Vol.15
仏像彫刻師 高木在住
山口幹也氏(42歳)
・interviewer・Jamさん
- ■いつ頃から仏像彫刻に興味を持たれたのですか。
- もともと、ものを作ることが好きでした。高校生の時に、今の師匠となる伊藤光治郎先生の仏像教室に2年ほど通い、彫刻に興味を持ちました。漆にも興味があったので、金沢美術工芸大学への進学を決めました。在学中は現代彫刻ばかりでしたが、彫刻の道に進む事を決めてから、改めて師匠のところに弟子入り。3年ほどの修行期間に木の扱い方を一から学び直し、「あとは、自分の努力だ」と師匠に言われ、独立しました。
- ■仏師の流派はありますか。
- 自分は違うのですが、『仏像彫刻のすすめ』著者:松久朋琳氏の流れをくむ方々が今の日本の主流であると思います。
- ■仕事の依頼は。
また苦心された作品はありますか。
-
仏具屋さんからの依頼が多いですが、知人からの依頼で作成することもあります。今は良い材料を使い、約2ヶ月ほどかけてこの仏像を作成していますが、なるべく安くと言われると、なかなか…。最初は若いし、これくらいの値段でと思っていましたが、今でもその金額で、上げづらいですね。
浄土真宗の寺院からの依頼で、「若い親鸞聖人の立像」がありました。資料が少なく、また法衣の着衣方法や数珠の種類なども調べ彫り上げました。納めましたが、あの作品には苦心しました。
- ■好きな仏像は何ですか。
- 奈良県興福寺の帝釈天立像、滋賀県向源寺の十一面観音菩薩像が好きですね。
仏像を彫る木材はどのようなものがありますか。
木曽檜、楠が香りも良く、彫りやすいです。また、桂、米檜葉(べいひば)なども使います。材料によっては、安っぽく見られてしまうこともあります。
彫刻刀はかなりの数がありますね。
大体100本くらいでしょうか。頂いたものも含めると200本以上あります。
刃は西東京市の小信(このぶ)という鍛冶屋に注文し、柄は自分の手になじむようすげています。
- ■一日どれほどお仕事をされますか。
- 朝9時頃から、夜8時過ぎくらいまでですね。
- ■カルチャースクールがあるようですね。
- 江東区北砂で仏像彫刻教室を4年ほど行っています。入れ替わりはありますが、主に60代〜70代の生徒さんが6〜7名います。
最初は手を彫るところから。目、鼻、口の部分を。そして顔全体を彫り、2年後くらいから仏像全体の彫刻をします。
- ■夏に展示会があるようですが。
- ここ毎年行っています。今年は一昨年と同じ、麻布の『パレットギャラリー』で8月12日水〜8月17日月まで行います。ご興味のある方は是非足をお運びください。